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多汗症

こんなお悩みがある方に

  • わきの臭いが気になる
  • わきの臭いを周りの人から指摘される
  • わきに汗をたくさんかく
  • わきに汗染みができる
  • 手汗が多い
  • 手汗で紙が湿ってしまう

多汗症とは

 汗は本来体温調節機能や皮膚の表面の状態を正常に保つために重要な役割を負っていますが、多汗症では通常よりも汗が多く出てしまう疾患で、全身で汗が増える全身性多汗症と、ある特定の部位からの汗が増える局所多汗症があります。
 全身の多汗症には、原因のない原発性と、感染症・神経疾患・内分泌代謝疾患などが原因で起こる続発性にわかれます。
 局所多汗症も、原因のない原発性と、怪我や腫瘍による神経損傷などが原因でおこる続発性の多汗症に分けられます。耳下腺の手術や外傷後に、耳の前に赤みが出現し、汗が増えるFrey症候群という疾患がありますが、これは続発性局所多汗症の一つです。
 続発性の場合には原因疾患の治療が優先されます。
 ここでは原発性局所多汗症について原因や治療法をご説明します。

汗について

汗を出す腺には、エクリン腺、アポクリン腺、アポエクリン腺の3つがあります。
 エクリン腺はほぼ全身の皮膚にあり、温度刺激・精神的刺激・味覚刺激などがあると、神経末端からアセチルコリンが分泌され、アセチルコリンがエクリン腺の受容体に結合することで発汗が起きます。汗をかくことで、汗の水分が蒸発するときに熱を奪い、体温を下げることができ、体温調節の重要な役割があります。
 アポクリン腺は腋窩や外陰部などにあり、性ホルモンの影響を受けて思春期以降に発達します。アドレナリン作動性のため、主に情緒的な刺激で発汗します。
 アポエクリン腺は比較的最近分類された汗腺であり、思春期以降の腋窩多汗症の方の腋窩に出てくると言われています。

汗・わきの臭い、
ワキガについて

汗・わきの臭い、ワキガについて 基本的に汗自体は無臭ですが、特にアポクリン腺から分泌される汗に含まれる脂肪酸が皮膚にいる細菌によって分解されて臭いを発するようになると言われています。
ワキガの方では、このアポクリン腺が遺伝的に大きく、分泌量も多いため臭いが強くなると言われています。

原発性局所多汗症の原因

原発性局所多汗症の原因はわかっていませんが、汗を出す汗腺の機能が亢進していると考えられています。特に手掌足底で汗の多い掌蹠多汗症は、家族歴があることが多く、遺伝的な関連があると考えられています。

原発性局所多汗症の種類

①掌蹠多汗症

掌蹠多汗症 精神的な刺激よって、手掌や足底に大量の汗をかく状態です。発症は比較的早く、小学校入学程度の時期からみられるようになります。手足の皮膚はふやけて剥けることがあり、手の汗は紙やキーボードの扱いに支障をきたすことが多いです。

②腋窩多汗症

②腋窩多汗症 思春期ころから症状を自覚することが多く、精神的な発汗と、温熱刺激による発汗の両方がみられます。
 衣服に汗が染み込み、整容的な面で問題となることが多いです。

③頭部・顔面多汗症

頭部・顔面多汗症 20歳前後くらいから自覚することが多く、男性に多いと言われています。熱いものを飲食した場合やストレスによって、額から側頭部、後頭部にかけて流れ落ちるほどの汗をかきます。

多汗症の治療

①外用薬

1.抗コリン外用薬:
当院で対応可能

原発性腋窩多汗症:エクロックゲル®、ラピフォート®

 汗を出す時の神経伝達物質であるアセチルコリンの結合を阻害する薬です。

原発性手掌多汗症:アポハイドローション®

 ムスカリンM3受容体に結合することで抗コリン作用を生じ、発汗を抑えます。
抗コリン外用薬は部分的に外用するため、全身の副作用が出ることがほぼなく使うことができます。保険適応です。

2.塩化アルミニウム

 汗がでてくる出口に蓋をすることで発汗を減らす塗り薬です。自費診療になります。

②内服薬

抗コリン薬など

 全身性の副作用がでることがあるため、一定の注意が必要になり、また抗コリン薬は閉塞隅角緑内障や前立腺肥大のある方では使用できません。

③注射

A型ボツリヌス毒素(ボトックス®)の局所注射:当院で対応可能

 A型ボツリヌス毒素は神経末端からのアセチルコリンの放出を抑制する作用があります。効果が高く、重度腋窩多汗症の方は保険適応で注射をすることができます。手掌足底や頭部では保険適応ではありません。
 当院でもボトックス注射をしておりますので、お悩みの際はご相談ください。

ボツリヌス療法

④イオントフォレーシス

 水に通電することで発生する水素イオンが汗孔部に作用して発汗を減らすと考えられており、手掌足底では比較的効果の高い治療になります。当院でも対応可能です。

⑤その他

 交換神経遮断術・マイクロ波機器による治療もありますが、当院では施行しておらず、ご紹介となります。