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乾癬・掌蹠膿疱症

乾癬とは

乾癬 乾癬は皮膚の慢性的な炎症性疾患であり、遺伝的要因や外的要因を背景に免疫学的な過剰反応によって引き起こされます。乾癬では皮膚の角化細胞の増殖が亢進するために、銀白色の厚い鱗屑と炎症による赤みを伴った皮膚になります。
 日本人の発症率は0.3%程度と言われ、男女では2:1で男性に多いとされています。
尋常性乾癬、滴状乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症に分類され、関節炎を伴うこともあり、乾癬性関節炎と言われます。

乾癬の原因

 家族内発症率が高く、複数の遺伝子や環境要因が関係している(多因子遺伝)とされています。またHLA-Cw6, HLA-B13などの遺伝子との関係性もあると言われています。
 外的要因としては感染症、ストレス、喫煙、外傷、薬剤(リチウム製剤、β遮断薬、カルシウム拮抗薬、インターフェロンなど)などがあり、高脂血症・糖尿病・肥満などのメタボリックシンドロームも影響するとされています。
 乾癬では遺伝的要因や外的要因を背景に、樹状細胞やTh1細胞、Th17細胞を介して異常な免疫反応を起こし、各課の異常な更新と慢性的な炎症が引き起こされます。

乾癬の症状

 最も多い尋常性乾癬では厚い銀白色の鱗屑(カサカサ)のついた円形や環状の盛り上がった紅斑が見られ、皮疹のない正常な皮膚も外傷などの刺激で皮疹が生じる現象(Kobner現象)も起こります。滴状乾癬は一つ一つの皮疹が10mm以下と小さいことが特徴です。膿疱性乾癬は紅斑に膿疱が伴い、発熱などの全身症状を伴うこともあります。尋常性乾癬の経過中に起こることもあれば、突発的に発症する人もいます。乾癬性紅皮症は乾癬の皮疹が全身に拡がってびまん性に潮紅が生じます。

乾癬の治療

 症状の程度によって治療方法は異なります。局所療法としては一般的に外用薬(ステロイドと活性型ビタミンD3)、紫外線療法(PUVA、ターゲット型UVB)があります。全身療法としてはシクロスポリン、レチノイド、PDE4阻害薬などの内服薬があります。当院でも内服・外用・紫外線療法(ターゲット型UVB)による治療をしております。
 重症例や関節症状を伴う乾癬では生物学的製剤も使用されます。生物学的製剤を使用する際には使用前に検査が必要であり、承認施設をご紹介させていただきます。

掌蹠膿疱症とは

 手のひらや足の裏に水疱や膿疱ができる皮膚疾患です。膿疱は無菌性であることが特徴で、慢性的に経過することが多く、膿疱の周囲には赤みがあり、かゆみを認めることもあります。

掌蹠膿疱症の原因

 原因は不明とされていますが、体のどこかにある慢性的な感染巣(扁桃炎、齲歯、副鼻腔炎など)、長期喫煙(1日20本以上)、過敏性腸症候群、歯科金属アレルギーなどが関与していると考えられています。

掌蹠膿疱症の症状

 40~50代女性に多く、手のひらや足の裏に無菌性膿疱や水疱、ガサガサを伴った紅斑が出現しますが、膿疱を認めないこともあります。手のひらは母指球や小指球、手のひらの中央部に出ることが多く、足の裏では足底以外にも足底と踵の境界部などにも生じます。
 掌蹠以外にも拡がることがあり、また関節症状を伴うこと(PAO)もあります。
自己免疫性甲状腺炎、糖尿病、アレルギー性疾患、脂質異常症、うつ・精神的ストレス、IgA血管炎が併存することがあることも知られています。

掌蹠膿疱症の治療

 禁煙、感染巣がある場合はその治療や予防、齲歯の治療も有効です。
軽度の場合はステロイドや活性型ビタミンDの外用が有効です。外用で効果不十分な場合はアプレミラスト(オテズラ®)内服、紫外線療法(エキシマライト、PUVA)、免疫抑制剤内服、生物学的製剤(グセルクマブ)などの治療方法もあります。当院では外用療法はもちろん、オテズラ内服や紫外線療法(エキシマライト)の治療もありますのでご相談ください。