尋常性白斑とは
白斑・白皮症とは皮膚の色素異常症の一つであり、皮膚の色が全体もしくは部分的に、完全または不完全に失われた状態です。先天性と後天性があり、合併症や基礎疾患があることもあります。
尋常性白斑は後天性の完全脱色素斑であり、皮膚の色が部分的に完全になくなった状態です。脱色素斑の出方によって、1.分節型、2.非分節型、3.未分類型に分類されます。
尋常性白斑の原因
皮膚の色の成分であるメラニン色素は皮膚の基底層というところにあるメラノサイトという細胞で作られて、周りの表皮細胞に配られます。
尋常性白斑の原因は完全に解明されているわけではありませんが、この色素を作るメラノサイトが自己抗体(自分で自分の細胞を攻撃する抗体)に障害されたり、細胞障害性T細胞によってメラノサイトが攻撃されると考えられています。また、白斑の病変部では抗酸化物質が低下していることも指摘されており、局所的な細胞環境も影響しているとも言われています。また、尋常性白斑では家族内発症があることから、遺伝的な関与も指摘されています。
尋常性白斑の鑑別診断
尋常性白斑と似ている後天性の白皮症には、薬剤や化学物質でメラノサイトが障害されて生じるものや、感染症(癜風、梅毒、Hansen病など)、加齢によるもの、Sutton母斑、白色粃糠疹(はたけ)、Vogt-Koyanagi-Harada症候群(ぶどう膜炎、髄膜炎、難聴、白斑)などもあります。
尋常性白斑の合併症
- 自己免疫性甲状腺機能異常症
- 膠原病
- Sjogren症候群
- 糖尿病
- 慢性C型肝炎
- 円形脱毛症
- 悪性貧血
- Addison病
- 重症筋無力症
尋常性白斑の治療法
1)外用療法
①ステロイド外用
限局型(白斑の出ている部位が一部分)に対して、ステロイド外用は効果的です。
4~6か月ほどの外用療法が一般的です。汎発型(散らばって出ている)では効果が乏しいことも多いです。
②活性型ビタミンD外用
副作用が少ないことから使用されることも多い外用薬です。紫外線療法と組み合わせると効果的と考えられています。
③タクロリムス軟膏
治療効果は比較的高い外用薬です。長期外用した場合や紫外線療法との併用については、発がん性の観点から注意して用いられます。
2)内服療法
進行している尋常性白斑に対して、内服療法が使われることもあります。副作用もあるため、症状に合わせて検討する必要があります。
3)紫外線療法
PUVA、エキシマレーザー/ライトなどがあります。部分的な照射にはエキシマレーザー/ライトが適しています。週1回~3回で3か月程度の治療が目安です。
当院でもエキシマライトの治療をしております。是非ご相談ください。
エキシマライト
波長308nmのUVB紫外線を利用した光線治療機器です。
コンパクトで、小さな部位への照射に向いています。
治療の対象は乾癬、類乾癬、掌蹠膿疱症、菌状息肉症、悪性リンパ腫、慢性苔癬状粃糠疹、尋常性白斑、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症などです。