一般的にイボと
言われるもの
イボと呼ばれるものには医学的にいくつか種類があります。
病院受診のきっかけになるものとしては、尋常性疣贅、扁平疣贅、尖圭コンジローマ、Bowen様丘疹、水いぼ、脂漏性角化症(老人性イボ)、skin-tag、汗管腫などがあります。
このうち尋常性疣贅、扁平疣贅、尖圭コンジローマ、Bowen様丘疹、水いぼはウイルス感染が原因で起こり、脂漏性角化症・skin-tagは年齢を重ねるとともに自然に増えてくる皮膚の良性のできものです。
①尋常性疣贅
(じんじょうせいゆうぜい)
尋常性疣贅とはHPV(ヒトパピローマウイルス)2,4,7,27,57が主体の感染で引き起こされる皮膚のできものです。潜伏期間は1~6か月ほどで、接触することで皮膚の小さな亀裂や傷から侵入して皮膚の角化細胞に感染し増殖します。小児の手足にできやすく、1つのこともありますが、周りの皮膚に感染することでだんだんと数が増えていきます。数mm~数cm大ほどで、比較的硬い表面がガサガサとしたできものです。通常は痛みやかゆみといった自覚症状はありません。
治療法は主に液体窒素による凍結療法です。多発や難治性の場合はヨクイニンという漢方の内服や外用薬を組み合わせます。まれに自然治癒することもあります。
②扁平疣贅
(へんぺいゆうぜい)
HPV3,10などの感染で引き起こされる皮膚の比較的小さく平らなできものです。10代後半~20代の女性の顔や手背にできることが多く、色は普通の皮膚色~淡いピンク色で数mm大で少し平らに隆起したできものです。
治療法は液体窒素による凍結療法、ヨクイニン内服などです。自然消退することもありますが難治性で数年間続くこともあります。
③尖圭(せんけい)コンジローマ、Bowen様丘疹
尖圭コンジローマは主に性行為によって感染するSTIであり、HPV6,11の感染で外陰部や肛門周囲に小さなできものが集まってカリフラワーのようなできものができてきます。潜伏期間は2~3ヶ月です。
治療法は液体窒素による凍結療法やイミキモド外用があります。
ヒトパピローマウイルスワクチン(シルガード®9・ガーダシル®)による予防法もあります。
*ガーダシル®はHPV6,11,16,18、シルガード®9はHPV6,11,16,18,31,33,45,52,58に対する予防接種です
Bowen様丘疹はHPV16による感染で生じる外陰部のできものです。尖圭コンジローマの亜型であり、尖圭コンジローマに比べて平らに隆起したできもので、治療法は凍結療法などです。
④水いぼ(伝染性軟属腫:
でんせんせいなんぞくしゅ)
水いぼはポックスウイルスに属するMCV(Molluscum contagiosum virus)というウイルスによる感染で起こる皮膚のできものです。
主に小児で感染しますが、大人でも免疫不全の方、性的接触での感染などがみられます。皮膚にできた僅かな傷や毛穴などから感染します。
イボは数mm程度の大きさで中央にくぼみがあり、光沢のあるドーム状で、痛みはなく、炎症やかゆみを伴うことはあまりありませんが、二次感染が生じると痛みが生じることもあります。
治療法にはトラコーマ鑷子などでの摘除、液体窒素による凍結療法などがあります。
⑤脂漏性角化症
老化により徐々に皮膚に増える良性のできもので、中高年以降で多く見られるようになります。顔や頭部・体幹にできることが多く、数mm~2cm程度までの大きさで、茶色~黒色でやや隆起したできものです。
一般的には良性ですが皮膚の悪性腫瘍と鑑別が必要になり生検検査をすることもあります。
通常は治療の必要はありませんが、整容的に、あるいは不快感などがある場合は液体窒素や切除術による治療をします。
当院ではよりきれいに仕上げるために自費にて炭酸ガスレーザーによる治療もしております。
⑥skin tag(軟性線維腫)
頚部や脇などにできる皮膚と同系色で柔らかく、皮膚から突出したできものです。
頚部や脇に小さな糸状のできものが多発する場合にskin tag、体幹などに単発でできるやや大きめのできものを軟性線維腫と呼びます。
良性のできものであり、切除の必要はありませんが、引っ掛かりができたり整容的に気になる場合は液体窒素による凍結療法や切除術、炭酸ガスレーザーによる治療を行います。
⑦汗管腫
汗の腺からできてくるできもので、皮膚と同じ色で平坦に隆起する1~3mm程度のできもので、女性の目の周りなどにできることが多く、多発します。
良性のできものですが、希望時には液体窒素による凍結療法や炭酸ガスレーザーによる治療を行います。